内視鏡検査で胃がん・大腸がんの早期発見を目指しましょう
内視鏡検査は何のためにやるのでしょうか?
シンプルに言ってしまうと、内視鏡検査はがんを早期発見するために行うものです。
日本のがん患者数
2015年のがん予測が国立がん研究センターにより発表されました。1年間にがんにかかる方は約98万人で、2014年の予測値と比べると約10万人の増加です。
がんはどの部位に多いのか
がんになる方の数が最も多いのは大腸がん(135,800人)で、初めて1位になりました。ついで、肺がん(133,500人)、胃がん(133,000人)、前立腺がん(98,400人)、乳がん(89,400人)と続きます。
男性でがんが多い部位は前立腺、胃、肺、大腸の順になっています。女性では乳房、大腸、肺、胃の順になっています。
参照:2015年のがん統計予測(独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センター)
どの部位のがんが怖いのか
がんによる死亡者数は、肺がんが最も多く、また、増え続けています。死亡者数が2番目に多いのは、胃がん、そして大腸がん、膵がん、肝がんと続きます。
胃がんによる死亡者数は横ばいですが、今後はピロリ菌に感染している人が減り、亡くなる方も減ってくるでしょう。大腸がんで亡くなる方は増えてきていますが、食の欧米化など、日本人の生活習慣の変化が要因と言われています。
大腸がんは比較的に性格が良く、予防もでき、完治しやすいがんです。早期発見するための検査をすることで、死亡者数を減らせるはずです。事実、米国では大腸がんで亡くなる方は既に減少してきています。日本でも、大腸内視鏡や便潜血検査がさらに普及すれば、大腸がんで亡くなる方を減らせることができるでしょう。
がんを早期発見する検査(方法)
死亡者数が1番多い肺がんは、予防や早期発見、治療が困難な病気です。胸部レントゲンだけでは発見しにくいことが多いので、時々CTを受けると良いでしょう。胃がんと大腸がんは、早期発見をしやすいがんですので、定期的に検査するのが好ましいです。
胃がんを早期発見する検査(方法)
胃がんを発見する方法としては、
- 胃内視鏡
- バリウム
- ペプシノゲン
- CT
- PET
があります。胃がんを確実に早期発見するためには、定期的に内視鏡検査を受けることが一番です。バリウムでは小さながんは見逃されることがありますので、早期に胃がんを見つけるのは内視鏡検査がベストと言えます。
また、胃がんの予防方法としては、ピロリ菌の除菌があげられます。ピロリ菌を除菌することで胃がんになるリスクは2/3に減るので、特に胃がん家系の方はピロリ菌がいないか検査することをお勧めします。
大腸がんを早期発見する検査(方法)
大腸がんを発見する方法には、
- 大腸内視鏡
- 便潜血検査
- バリウム
- CTコロノグラフィー
- 大腸カプセル内視鏡
があります。それぞれメリット・デメリットがありますが、大腸がんの発見には大腸内視鏡検査と便潜血検査を適切に組み合わせるのがベストです。
大腸内視鏡検査では前がん病変である大腸ポリープを発見することができます。発見した大腸ポリープを切除することで大腸がんを予防できるので、大腸がんの早期発見が可能な検査と言えます。一方で便潜血検査は、早期発見には向いておらず、進行がんを見つけやすい検査と言えます。
内視鏡検査後のフォロー期間
一度内視鏡検査を受ければ、その後は何もしなくていいのかというと、そういうわけにはいきません。胃がんも大腸がんも、内視鏡検査を受けた後にも定期検査を受ける必要があります。
胃内視鏡のフォロー期間
胃がんの早期発見を目的とする場合、胃がんになる危険が高いグループと低いグループでフォロー期間が変わります。
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- 胃がんになる危険が高いグループ(ピロリ菌に感染中またはピロリ菌除菌後)
年に1回は内視鏡検査を受けると良いでしょう。がんを疑うような病変のある方は、さらに間隔を短くするべきです。
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- 胃がんになる危険が低いグループ(ピロリ菌の感染歴なし)
内視鏡検査は2、3年に1回程度で良いでしょう。
大腸内視鏡のフォロー期間
大腸内視鏡のフォロー間隔は、年齢や大腸内視鏡の所見(ポリープの数やタイプ、ポリープ残存の有無)、大腸がんの既往歴や家族歴など、大腸がんのリスクによりケースバイケースです。また、大腸内視鏡をやらない年は便潜血検査を受けることをお勧めします。
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- 1年以内
切除すべきポリープが残存している、あるいはその可能性がある場合や、大腸がんを切除した直後の方。
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- 3年以内
大腸内視鏡検査の際、腺腫が発見されすべてを切除した方。
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- 3~5年
大腸内視鏡検査の際に腺腫が発見されなかった方。
予防と早期発見が重要です
すべての病気は予防が重要と言えます。胃がんはピロリ菌を除菌することで1/3は予防できます。大腸がんは大腸ポリープを切除することで8-9割は予防できます。予防できなかった場合も、早期発見することでがんが治癒する確率を高めることができます。
早期発見できれば、体にやさしい治療方法を選択でき、精神的なダメージも少ないので、定期的に検査を受けることをお勧めいたします。