院長コラム 大腸がんとは
大腸がんとは
大腸は小腸と肛門の間にあり、約1.5mの長さです。
大腸は結腸と直腸に分けられ、結腸はさらに奥から盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸に分けられます。
小腸は栄養を吸収するのに対し、大腸は水分を吸収するのが主な役割です。また大腸の中には、人間の細胞数(60兆個)より多い100兆個の腸内細菌が生息しています。腸内細菌は生態系を作り、そのバランスは変化し、人間と共生し、健康に影響を与えます。最近は食生活でこの腸内細菌を活性化し健康的に過ごすことを「腸活」といいます。腸活はおすすめです。
大腸の粘膜から大腸がんが発生します。
大腸がんのほとんどは腺がんというタイプのがんで、胃がん、膵がんなど多くの消化器がんと同様です。
遺伝性の大腸がんについて
大腸がんの中の5%が遺伝性のがんです。遺伝性の大腸がんには、HNPCCと家族性大腸腺腫症があります。
HNPCCとは
HNPCCとはHereditary nonpolyposis colorectal cancer の略で、遺伝性ポリポーシス性大腸がんのことをさします。リンチ症候群とも呼ばれます。
遺伝子の異常を修復する遺伝子(ミスマッチ修復遺伝子)に異常があります。
HNPCCは以下の特徴を持っています。
I. 若くして大腸がんができる
(a)50歳より若い年で発生
(b)20歳、10歳代で発生することもある
Ⅱ. がんが複数できることがある
(a)複数の大腸がんができることがある
(b)胃がんや子宮体がんなど大腸以外の臓器に複数のがんができることがある
Ⅲ. 右側の大腸(盲腸、上行結腸、横行結腸)にがんが発生することが比較的多い
家族性大腸腺腫症とは
家族性大腸腺腫症(Familial adenomatous polyposis: FAP)は大腸に数え切れないほどたくさんの腺腫ができる病気です。
APC遺伝子に異常があります。
まれな疾患ですが、大腸がんに非常になりやすく、40歳代までに半数の方が大腸がんになります。