院長コラム 大腸がんのなりやすさは
大腸がんのなりやすさは
大腸腺腫のある人や、家族に大腸がんの人がいる場合は、大腸がんになりやすいといえます。
また肥満や、肉食、飲酒、喫煙も、大腸がんのリスクとなります。
反対に、内視鏡による大腸腺腫の切除や運動で、大腸がんのリスクを減らすことができます。野菜・果物の摂取も良いといわれています。血液をサラサラにする薬であるアスピリンにも、大腸がんを予防する効果があります。
1. 大腸がんはどのように発生するか
大腸がんの発生経路は、次の3通りが考えられます。
① 「腺腫が、がん化する」
② 「正常粘膜が、がん化する」
③ 「鋸歯状ポリープが、がん化する」
この中で主要な大腸がんの発生経路は、①「腺腫が、がん化する」です。
① Adenoma-carcinoma sequenceとは
良性の腫瘍(増殖能力を持つしこり)である腺腫(adenoma)が、がん化してがん(carcinoma)になることをadenoma- carcinoma sequenceと呼びます。
「腺腫が、がん化して発生する」この経路が、大腸がん発生のメインルートと考えられています。
② de novo がんとは
‘de novo(デノボ)’とは「初めから」「新たに」、‘from the new’というラテン語です。
正常粘膜から、腺腫を経ず、「初めから」「新たに」大腸がんが発生する「de novo がん」です。
de novo がんは、小さくても悪性度が高いことがあります。
頻度は低いとされています。
- 鋸歯状ポリープとは
鋸歯状ポリープとは 過形成性ポリープとsessile serrated lesion (SSL)と鋸歯状腺腫 のことをさします。SSLは訳すと無茎性鋸歯状病変となります。顕微鏡で見ると鋸(のこぎり)状のギザギザした粘膜の構造があり、「通常の腺腫とは異なる」良性ポリープをさします。
SSLは右側結腸(盲腸から横行結腸)にでき、粘液を有するのが特徴です。鋸歯状ポリープは左側結腸にでき、松ぼっくりのような模様を呈するのが特徴です。遺伝子異常が関与しているのも、特徴とされています。
この鋸歯状ポリープは、がん化することがあり、それが第2の大腸がん発生の経路と考えられています。最近は約3割がこのルートからの発がんと考えられています。
SSLや鋸歯状腺腫、そして、SSLに似ている過形成性ポリープは内視鏡で発見された際に、切除するのが好ましいです。