食道がんの早期発見には
NBI、色素、拡大、
ハイビジョンが有効
咽頭喉頭がんも早期発見にはNBIが有効
早期食道がんは通常の光で観察するよりもNBIを用いることで検出率が上がります。ですから内視鏡を受けるのでしたら、NBI機能のある内視鏡で受けると良いですね。
NBIの機能は経鼻用の細径内視鏡でも使用できます。ルゴールという色素を用いることも食道がんの早期発見に有効ですし、拡大機能やハイビジョンがあればなおさら良いです。但し胸やけが出現するので、ルゴールをまくのはNBIと通常光を用い観察し異常があるときに精密検査として行います。
耳鼻咽喉科領域の内視鏡より消化器領域の内視鏡(つまり胃カメラ)の方が圧倒的に性能が高いので、近年咽頭喉頭がんは胃カメラで発見する時代となってきました。
特に早期の咽頭がんはNBIを用いることで検出率が上がります。咽頭がんは食道がんの人に多く起きることが分かっております。咽頭がんは高齢者、男性、フラッシャー、飲酒、喫煙が食道がんと同様にリスクとなりますので、早期に発見するためには注意を要します。
お酒を飲んで顔が赤くなる人は
食道がんに要注意
危険な人は190倍の確率で
食道がんになりやすい
少量のお酒を飲んで顔が赤くなる人はフラッシャーと呼ばれます。これは遺伝的に決まっていて、日本人の約4割がこのタイプです。フラッシャーの人は食道がんのリスクが高いことが分かっております。
アルコールは体内でアセトアルデヒドに、そしてそれが酢酸へと代謝されていきます。この中でアセトアルデヒドが発がん物質で悪者なのです。酢酸は無害です。
アセトアルデヒドを酢酸に代謝する酵素をアセトアルデヒド脱水素酵素と呼びますが、この酵素の作用が弱い人はアルコールを飲むと、体内で産生されたアセトアルデヒドが代謝されずそのままの状況でいるため、同じ量のアルコールを飲んでもより長い時間発がん物質に曝露されていることになります。
そのためこの酵素のタイプの人は発がんのリスクが高いと考えられています。実はアセトアルデヒドが顔を赤くする物質でもあるため、この酵素の作用が弱い人がフラッシャーなのです。アセトアルデヒド脱水素酵素作用が非常に弱い人は全くお酒の飲めない人。こういう人はお酒を飲めませんので、リスクは高くありません。
また、アルコールをアセトアルデヒドに代謝する酵素がアルコール脱水素酵素。この酵素の活性が低い人も食道がんを発症しやすいことも分かっております。この酵素の作用が弱いと飲酒してからアセトアルデヒドが蓄積するまで時間がかかることから、不快な症状を感じる前にお酒を飲みすぎる傾向があります。
これが発がんと関与していると考えられます。実際に、このタイプの人には慢性アルコール中毒患者が多いことも報告されています。
これら二つの酵素(アセトアルデヒド脱水素酵素とアルコール脱水素酵素)の活性型の組み合わせで一番がんになりやすい人が喫煙、飲酒をすると、すべての危険因子が低い人のなんと“190倍”食道がんになりやすいことが分かっております。
酒・タバコ・高齢・男性・
熱いものの飲食・家族歴が食道がん・咽頭がんのハイリスク
咽頭がんのハイリスク
ここで述べる食道がんは日本人では9割を占める扁平上皮がんについてです。食道がんには扁平上皮がん以外に腺がんがありますが、これは逆流性食道炎が原因となるバレット食道から生じるもので日本人にはまだまれな疾患です。
前述したように食道扁平上皮がんは遺伝的ななりやすさが大きく関与しております。ですから家族歴にも注意が必要で、それと同時に喫煙、飲酒も大きな影響を及ぼします。
また、高齢の男性が多く、熱い飲み物や食べ物を好む食習慣との関連も深いことが分かっております。欧米人に多い食道腺がんは逆流性食道炎に加え、肥満が確実なリスクです。これらのリスクを避けつまり、禁煙と節酒、熱い飲食物を冷まして摂取する、野菜果物を積極的にとるというのが予防策になります。
咽頭がんに関しても同様と考えてよさそうです。